top of page

 

光岡先生から教わった護身技術は、
防犯ブザーや催涙スプレーが裸足で逃げ出す強烈さと楽しさがありました。

百円均一店で揃えられた様々な日常雑貨を床に広げて、
それらでどのような攻撃ができるかを教わっていると、
子供の頃になんでも勝手にオモチャにしていたことを思い出し、
楽しくなりました。

専用の道具や武器でなくても、物の特性を把握すれば身の回りのものが
有効な武器になることを知りました。

その他、「壁際で首を絞められている状況からの脱出」や
「刃物でこちらの頸動脈を狙ってくる相手との関係の作り方」、
「爪の剥がし方」など文字にするとおそろしく危険で痛そうなことを、
楽しく練習しました。

また、光岡先生は「加害者・被害者」と「犠牲者」についてのお話をされました。
そして、「犠牲者」にならないことが武術の稽古の眼目である、
というようなことも仰っていました。

加害者が現れたときに生まれる「被害者」という存在と、
加害者がいなくても自分の心の中に生まれてくる「犠牲者」との違いを
伺いながら練習していると相手と接触するときに慌てて手を出してしまったり、
接触する前に身体をこわばらせてしまい自由に動けなかったりするときの、
ちょっと投げやりな気持ちや怯えた感じは、「犠牲者」の心理なのかなと思えてきました。

一昨年の震災が起った直後、自分もそれなりに有事に対する備えをしていましたが、
段々そういう事への関心が薄れてきていました。

それは時間が経ったことで危機感が薄れてきているせいだと考えていましたが、
危機が起きたときには自分にできることは何もない、
という無力感のせいでもあるかも知れないと、今は感じています。


光岡先生の講習会や、諸先生方との稽古がいつも楽しいのは、
有事に備えて怯えながら稽古をするのではなく、何かが起きたとしても何とかやっていけそうな
自信を育てることを教えてくれているからだと思います。

「self-defense & awareness」は、武術的に大切だと言われていることを教わりながら、
それが大切である理由を自分でも発見できる貴重な経験でした。

bottom of page